1.無農薬…安全なモノを、安心なモノを、子供達に胸を張って手渡せるモノを
農薬・化学薬品を使わないでお米を作るために、私たちは、NPO法人民間稲作研究所の提唱している「命育む有機稲作」という農法を選びました。
詳細は本家のWEBサイトに譲りますが、大まかにどのような農法なのかを、少しだけご説明させてください。
なぜ農薬が必要になるのかというと、田んぼの中に稲以外の草を生やさないようにするためです。
稲と混在して草が生えると、
- 稲が十分に成長しない→養分が取られてしまい成長が阻害される
- 混在したままでは機械が使えなくなる→むりやり刈り取るとごちゃ混ぜで脱穀に支障がでる
といった影響がでます。
実際、混在する田んぼの中で、稲とそれ以外をより分けて、稲以外の草を手作業で刈るというのは、現実的ではありません。
そのため、農家さんの労力を軽減するという点においては、農薬はたいへんありがたい存在なのです。
一方で、一番農薬による影響を心身ともに受けているのは、他ならぬ農家さん自身でもあります。
農薬の良い面、悪い面を見比べても、やはり、農薬は使いたくありません。
そこで、田んぼ内に生えてくる可能性のある他の植物の特性を把握し、植える苗の育苗方法(成苗とする)、植える本数、間隔を工夫し、稲の生育や収穫に支障を来す草を抑草するため、耕運や代かき、水の深さ等の土壌調整をその目的に叶う形で行うことで、農薬に頼らずに、田んぼの環境を維持する、つまりは、自然の理(ことわり)に沿うのが「命育む有機稲作」の最大の特徴です。
この農法であれば、無農薬の、誰もが安心して食べることのできるお米が作れる、と、私たちは期待しています。
2.収益性…生産者が米作りに集中して暮らしていけるように
どれだけ理想を述べても、実際の米作りで十分暮らしていけるだけの収益が無ければ、担い手は増えません。
担い手を増やしていくための仕組み作りも、私たちの目的です。
『無農薬』の項で触れたように、農薬を使わなければ、人的労力は莫大なモノになり、お米の値段は跳ね上がってしまいます。
農薬を買う、というコストをかけてでも、薬を使ったほうが安くお米を作れるのです。
しかし、植物の特性を知り、自然の理(ことわり)を利用すればそこにはコストはかかりません。当然、農薬等にかかるコストも無くなります。
少し難しく言うと、収益と比較した『変動費率』が低くなります。
もう一つ。
各々が自給するという形を取らない限り、現代の、私たちの食料生産を支えるためには機械の存在が欠かせません。
この機械はたった1台でザックリと、100ヘクタール(=100万平方メートル)を処理する能力があります。
しかし、多くの農家さんはその1/10、下手すると1/100以下の規模で1台を保有しています。
100ヘクタールでできる農産物の量と、1ヘクタールでできる農産物の量は当然違いますよね。
そのまま、売上額も違ってきます。
機械一台のコストは変わらないのに、規模によって収益は変わってくるのです。
少し難しく言うと、大きな規模でできれば、収益と比較した『固定費率』が低くなる、ということです。
このように「命育む有機稲作」を「大規模」に行うことによって、生産者が経済的に持続可能な米作りができると私たちは考えています。