玄米と白米の栄養効果を比較してみた
お米(玄米)は英語で「Brown rice」
精米
「精米」は、糠や胚芽(茶色)部分糠を取り除く工程のこと
玄米を攪拌することによって、玄米同士をこすり合わせ、表面の糠を削りとります。
精米によって取り除かれるもの
米は大部分は胚乳で、その周りを胚芽と糠層が覆っていつ構造をしています。糠層は「果皮」「種皮」「糊紛層」の3層から成り立っていて、胚芽は全体の2~3%、糠層は5~6%になります。
胚乳
この胚乳が白米そのもの。発芽する際に必要なエネルギーを貯蔵。殆どがでんぷんという炭水化物。
糊紛層
脂質やタンパク質が多く、ビタミンやミネラル(特にカリウムやマグネシウム)なども豊富に含む層になります。
胚芽
発芽して成長するための芽になる部分。ビタミンB₁と、ナイアシン、ビタミンEが豊富で、胚芽米はそれらを玄米のほぼ半量分も含んでいることになります。
果皮種皮
果皮は外部から内部を守り、種皮は内部の水分調節をする役割をしています。これらは食物繊維をはじめ、ビタミン・ミネラル、脂質、タンパク質をたっぷりと含んでいます。
玄米と精米の栄養素比べ
左の表は玄米と白米の主な栄養素含有量(可食部100g当たり)を示したものです。表に示した割合は玄米に含まれる量を100とした場合の白米に含まれる量の割合です。
※白米は多くがでんぷんで炭水化物で占められているため、同じ量の玄米と比較したときに炭水化物量が玄米よりも多くなっています。
特に玄米の糠部分には、ビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれているために、白米と比べて割合が多くなっています。
特にビタミンB₁、マグネシウム、ナイアシン、ビタミンB₆が多く、またリンや灰分、鉄分も次いで多くなっています。(灰分とは食品中に含まれているミネラルの総称)
玄米のスペシャル効果
フィチン酸などたくさんの抗酸化物質が糠や胚芽部分に多く含まれており、酸化防止剤として使われる程、アンチエイジング効果大。
食物繊維が多く、善玉菌の餌になり、腸内環境を整えることに加え、フィチン酸が水銀やカドミウムなどの有害物質と結びついて体外に排泄する役割をしています。
また、リンやマグネシウムによって酸素を全身に運んだり、プラーク(血管のつまり)もお掃除しくれるため、解毒しやすい環境を整えてくれます。
フェルラ酸は、主に植物の細胞壁に含まれ、玄米では糠の脂肪の中に存在します。紫外線の吸収効果も認められていて、日焼け止めの成分としても使われています。
さらに、ポリフェノールのひとつであり、活性酸素の働きを抑え、老化を防ぐアンチエイジング効果もあると言われています。
メラニン生成にかかわる酵素(チロシナーゼ)の働きを抑制し、シミやくすみの原因であるメラニンの発生を抑えるとされています。
米糠石鹸や化粧品に人気が集まるのは、フェルラ酸の紫外線吸収効果とメラニン抑制効果によるものといえます。
イノシトールは糠に含まれるビタミンBの一種です。脂質のエネルギー変換を助け、脂質代謝の促進で肥満改善に効果を発揮します。
また、ɤ-オリザノールは玄米の糠部分に多く含まれていて「米の油」とも言われています。高脂肪食を食べたくなる脳ストレスを減らす効果があることが確認されています。
イノシトールの仲間であるミオイノシトールの投与による卵母細胞の質や妊娠率の改善にも効果があると言われています。
そのため、不妊治療を目的としたサプリメントの成分としても使用されています。
また、胚芽に含まれるビタミンEも冷え性や不妊症に効果があると言われています。
おまけに、ビタミンやミネラルに加え食物繊維などで便通もよくなると腸と血液がきれいになって全身が健康になっていき妊娠しやすくなるということです。
それに比べ、パンや牛乳、パスタやチーズのような高脂肪の洋食や、添加物が多いとこれらが不足したり、酸性に偏り、腸や血液を健康に保つことができなくなります。
最近よく聞くGABA(ギャバ)ですが、ɤ(㌏)‐アミノ酪酸(Gamma AminoButyric Acid)の頭文字をとってこう呼ばれています。
これはアミノ酸の一種で脳内でリラックスを伝える神経伝達物質になります。これにより、ストレスが緩和し、興奮が抑えられ安眠効果も期待できるといわれています。
また、r-オリザノールは快楽の脳内伝達物質であるドーパミンの受けとり作用をするタンパク質(ドーパミン受容体)の機能を高めることも分かっています。
この機能が高まることでドーパミンが働きやすくなり、玄米を食べたときに幸福感やおいしさを感じやすくなります。
フィチン酸は細胞膜に多く分布されていて、細胞分裂の速さ調節にも深く関与しています。がん細胞は大変分裂が速い細胞ですが、フィチン酸はこの分裂速度を弱め、正常な細胞に戻らせる働きがあります。
フェルラ酸の癌を抑制作用や癌細胞の自殺機能(アポトーシス)を誘発させる働き。
ɤ-オリザノールの抗がん作用。
お米の大量な糖質をエネルギーに変換するときに、ビタミンB₁が使われます。白米には精米によってビタミン類がほとんど排除されているため、変換に使われて不足し、脚気を患うことがあります。しかし、玄米にはそれを補充するほどのビタミンB1がしっかりと備わっています。
玄米から白米にすることで、総量が10%程減少します。これは糠や胚芽に含まれているビタミンやミネラル、食物繊維などの素晴らしい栄養群をほぼすべて捨てていることと同じになります。
私たちが本来、必要とするものを食べていないと私たちの脳は、からだに必須なビタミンやミネラルを「もっともっと」補充しようと食欲を搔き立て、いつまでも食べ続けるという行動をとるようになります。
まとめ
玄米は人が必要な栄養素(ビタミン・ミネラル・食物繊維など)をそれだけで補えてしまう程、生命力に溢れ栄養価も優れた完璧な食品といえます。胃腸の働きを整え、元気を補って滋養強壮にも良い。便秘、脚気、耳鳴り、めまいなどの予防にもなります。
食物全体を食べられることになり、栄養素の吸収率も高まり、デトックス効果も抜群です!そのほか、美肌効果、リラックス効果、不妊治療効果、血圧を下げる効果、肥満防止効果、アンチエイジング効果、抗がん作用など、様々な効果が期待できます。
日本は本来、人や物が十分満たされていて、力強く、一切の禍いから免れた神ながらの国【桑志保子千足の国(くわしほこちたるのくに)】であるとされてきました。そのため、米一粒に日・水・風・土・知恵・農具・田の7つの神が宿るとされ、一粒も無駄にはされませんでした。
玄米のようにビタミンやミネラルを十分に補える食品を十分に食べていれば、お腹いっぱいなのに「なんか食べたい」という「不足感」を感じなくなっていきます。
「必要なものは、ぜんぶ地球が用意してくれている」そんな言葉を思い出させてくれるのが玄米であるのではないかと感じました。
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