起きたこと・わかったこと・決めたこと

こんにちは。見沼の里の車田です。

いま私たちの活動のご報告は、まずインスタグラムにあげた後、

(だいぶ時間が経ったころ)このブログにてもう少しだけ詳しく書かせていただいているのですが。
(ここまで読んですぐにインスタに飛んでフォローしてくださった方)
(好きです)

インスタを見て、あれ?民稲研のやり方なのに草取りしてる?と疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。鋭いですね。

今回は、このあたりのご説明をさせていただきます。

①トラクターが使えない

まずはトラクターにて耕運時に、ぬかるみにハマってしまう事件がありました。

トラクターがハマっただけならまだしも、なんと助けに来たユンボもハマってしまって、一部出入り口部分のコンクリを壊すという事態になりました。

トラクターがはまって
ユンボがはまった

ご報告 昨日、田起を行った際に、川口田圃につきましては、首尾良く終了致しました。その後、屋敷田圃に移り、5反の田圃の残部(約半反)の耕運を行ったところ、トラクターが田圃に嵌まり、本日救出作業を行いました。無事にトラクター自体は引き上げが完了したのですが、引き上げたユンボ自体が田圃に嵌まりました。このことから、当該部分は、水が抜けにくく、かつ粘土質な田圃であるため、更なる耕運並びに代掻きが難しいものと思慮致します。また、トラクターの引き上げに伴い、付加的な費用が発生致しますので、取り急ぎご報告申し上げます。以上の状況に鑑みて、今年度の作付けの際、当該部分(約半反)については、無代掻きにて作付けを行うか、全く作付けを行わないことも検討すべきものと考えております。いずれにせよ、畦塗りの際には、場所を特定し、当該部分をマークアップして行う予定です。

暗渠が機能していない

原因としましてはこの田圃には暗渠(あんきょ)と呼ばれる、地中を通る水路があるのですが、これがなんと壊れていて常に半分以上の場所が過剰にぬかるんでいる状態になっているとのことでした。

地中にあって修理もできず、地主さんもその危険ゾーンは手植えで機械は使ってなかったらしく、もともとほぼほぼ機械を使っての耕運は危険でできない状態でした。

今回の問題は、田圃自体に大きな欠陥(地下に埋設されている暗渠による水捌けが機能していない問題)があることだと思います。こうした要因から地盤の一部が軟弱となり、粘度が高くトラクターが嵌まりやすい状態となっております。したがって、当該部分は今後耕運が困難だと思慮されることから、安全を看て、約1反は来期については、作付けを見送らざるを得ないものと考えます。

②水が溜まらない

そしてさらに事件は水入れの日にきました。
想定したペースで水が全然溜まらないのです。

原因としては、①畦に(モグラ等が)穴を開けまくり、②周りを囲ったコンクリが至る所でひび割れていて、③そもそも4〜5センチくらい溜まればオーケーという設計(入水口の位置とか)されていて、深水に適していない。

などなどなど、(文字通り入水口の)蓋を開けてみればたくさん問題がでてきました。
うーん、やってみなければ分かりませんね。

田圃プロジェクトについて 現状の水入りが、想定と異なる状況を踏まえまして、水利組合長並びに地主の方と話をした結果につき、以下、ご報告申し上げます。当該田圃については、深水管理をされている農家はいない。NPO団体で減農薬栽培並びに無農薬栽培をされている団体はいるが、草取りを前提に作業をしている。本地域の水田は、4~5センチの水入れを前提に畦を作っているため、入水口の位置もそれを前提に設置されており、そもそも、水圧の関係上10センチ以上水を貯めるのは難しいと思われる。屋敷田圃については、従前、ヒタヒタレベルで稲作を行っており、水を貯めるという発想に乏しい。そのレベルであれば、2,3日で水は貯まる。また、従前から、モグラ等が穴を開けており、逐次、水漏れ箇所については穴埋め作業を行うことで対応してきた。結構、西側の畦は水漏れが生じる可能性がある。東側も水抜けが悪いが、穴が空いている可能性は否めないとのことでした。以上から、今更で大変恐縮ですが、当該田圃では我々が想定していた深水管理を前提とした稲作は、極めて困難であると思われます。そこで、深水管理が出来ないとした場合、収支計算も踏め、現在の稲作の事業計画は、抜本的な見直しが必要となります。現時点では、播種については、予定通り進めたいと考えておりますが、場合によっては、草取り等を加味した作付面積の縮小等の兼ね合いで、播種量の調整も必要かもしれません。いずれにしましても、稲作作業メンバーで早急に意見調整を図った上で、再度皆様にご報告申し上げたいと存じます。

ぬかるみでトラクターが使えないということは、代かきという作業ができないということ。
水が溜まらないということは、深水構造にできないということ。


どちらも、民稲研の提唱する稲作(以下循環型有機稲作)に欠かせない要素です。
これができないと、雑草が防げないんです。
そのうえ、ぬかるんでいる部分はそもそも機械を使うこと自体が難しくなります。
これでは人的な労力が増大してしまって、とてもではないですが大規模に稲作をすることは現実的ではなくなります。

さあどうしよう

このNPO法人の目的の一つに、稲作だけでも十分に食べていけるビジネスモデルを作って次世代に渡す、があります。

どんどん耕作面積を拡げていって初期投資を回収していく予定で、今年の規模ではメンバータダ働きでちょい微赤、くらいでございました。

それがおよそ半分くらいが、満足に稲作ができない、となったのです。

論点としては、

  • まず今年、やるのか、やらないのか
  • やるなら予定外の労力が必要になる。どのくらいの規模でやるのか
  • 運転資金を含めて、今後どのようなロードマップで進むべきか

あたりでしょうか。

状況を確認すると、一部分では私たちの想定している環境、すなわち深水でできています。この農法自体は理論上正しく行えば雑草が生えてこないことは確認できました。その上で、普通に深水ではない箇所では草取りをした場合、どうやら、最低限の活動費分は今期収穫分で回収できそうです。

結論を先に申し上げますと、今年は、人力を使ったうえで、可能な限り工夫をしながらできるところでは稲作を行う、ということに決まりました。


以下、そういう結論に至った理由です。

この田圃の周辺には、私たちと同じようなコンセプトで米作りを行なっている団体がいくつかあります。
その方たちと、見沼田圃はどうなっていくだろうね、という話をすると、みなほとんど同じような見解です。

普段消費者側が目にすることはない農業の実態の深刻さは、実際に田圃に来るとよく分かります。
そして今後、その延長線上で起こるであろう出来事を想像することは、そんなに難しいことではありません。

米作りの経験がいくばくかあれど、専業のプロとして一から田圃を借りてやったことはなかった私たちが、実際に田圃を借りてみて分かったことは、農家ではない人が田圃を借りるというのは、畑を借りる以上に、法律的にも、人の心情的にも、想像以上に壁がありとても難しい、ということでした。

こんなに耕作放棄された田圃で溢れかえっていても、この一つの田圃を借りるというのは、とてもとても大変なのです。

米作りは、たくさんの手間と、お金と、エネルギーがかかります。

米離れも加速してむしろ生産を減らそうという流れが強まるほど、作るよりも買った方がはるかに安いのが、『コメ』です。

言い換えれば、私たちは、ほぼ絶対個人では米作りをすることができない状況と引き換えに、安い(値段でも成立する)米を買える権利を得ている、とも表現できます。

このような現状・近未来の予想を踏まえると、私たちが継続して、当初予定していた農法ではないけれど、今ご縁があって使わせていただいている田圃で米作りをやっていく意味は、十分あるように思います。

そして続けている限りくるであろうチャンスを得た時には、確実に活かして循環型有機稲作でできる田圃を借り受け、無駄にすることなくしっかりと結果を出せるように体制を整えておく。

今回の問題を目の前にして、私たちはこのように方向を転換することを決めました。

私たちは最終的にさいたま市の学校の給食を無農薬米に変えるという目標を掲げています。

これは言い換えれば、未来を担う次世代以降の人たちが、当たり前のように食べれているということです。

そこまでには乗り越えなければならない壁がどれだけあるでしょうか?
一万でしょうか。十万でしょうか。
その全貌は、私たちにも分かりません。

ただ私たちは、一つ一つを、重ねるだけです。そして私たちの世代では届かなくても、次の代にバトンを渡すときに、少しでも前に進んでおくことに、集中するだけです。

今期は循環型有機稲作がほとんどできなかったという結果でしたが、次に繋がる可能性は十分にあり、また、この規模でなら十分に継続可能と判断して、当面、現状の環境で稲作を続けることにしました。

一歩一歩を着実に進むために、代表理事をはじめ、正会員一丸となって、暑い日差しの中草取りをしています。

スケジュール的には、幾多の試練に関わらず、皆様のご協力によりほぼ、予定通りに進捗している状況にございます。これまで、メインの圃場でのトラクターが圃場で嵌まる事故、水漏れ問題、深水管理が出来ないこと等により、約半分の圃場を返却したこと、それによる採算性の悪化、今後の事業拡張の現実性への懸念等々、残念ながら当初の目論見からは大きく離れた状況にございます。このように、数々の問題に直面し続けておりますが、何とか事業継続に向けて、渾身の努力を続けております。

…そして、最低限の活動費分は今の規模で補えると書きました。大事なことが、抜けていますね。
そうです。大型機械の減価償却費分(計数百万)は先送りです!

私たちが目指す循環型有機稲作を本格的に始めない限り、想定通り回収することはできません(筆者の独自の見解で断言します)
その日はいつになるのでしょうか!震えます!

それでも勝算をもって、私たちは進みます。今後とも応援よろしくお願いします!
(できる限り早く50000m2で循環型有機稲作)
(頑張ります!)

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